治験とは、新しい薬を販売する際に、厚生労働省の認可を得るためにおこなわれる、人を対象とした治療を兼ねた試験のことを言います。ここで新しい薬の安全性や有効性などが確かめられます。
目次
新薬の治験
ここでは、新薬を創る際に人を対象に実施されている治験の過程について見てみましょう。
新薬の治験の3段階(フェーズ)
新薬の治験は大きく3つの段階(フェーズ)に分かれ、それぞれ第I相試験(フェーズワン)、第II相試験(フェーズツー)、第III相試験(フェーズスリー)と呼ばれています。
第I相試験:
主に健康な成人を対象として、治験薬の安全性や、治験薬がどのように体内に吸収され排泄されるかを調べます。これは主に入院の治験です。
第II相試験:
少数の患者様に対して、第I相試験で安全性が確認された用量の範囲内で薬剤を使用し、薬の効果、安全性、投与量などを調べます。これは主に通院の治験になります。
第III相試験:
多数の患者様に対して薬剤を使用し、第II相試験で実施したよりも多くの情報を集め、実際の治療に近い形で薬の効果や安全性を確認します。これも主に通院の治験です。
ジェネリック医薬品の治験
ジェネリック医薬品とは新薬の特許期間である20〜25年(実質15年程度)が満了した後に発売される、新薬と成分や量が等しく、価格が安い医薬品のことをいいます。後発医薬品とも呼ばれ、新薬と比べて価格が2割〜5割ほど安いのが特徴です。
新薬とジェネリックの違い
■ 同じところ
1.有効成分の種類・量
2.用法・用量
3.効能・効果
■ 違ってもいいところ
1.形状
2.色
3.味
4.添加物
わかりやすい例では、粉薬→カプセルへの変更など、飲みやすさなどが改良されたりもします。
ジェネリックの治験(生物学的同等性試験)
巷で治験の高額バイトと言われている入院タイプの試験の60%以上、つまりほとんどがこのジェネリック医薬品の治験です。新薬の第I相試験より圧倒的に多く実施されています。
9年〜17年かかると言われている新薬の開発期間に比べて、ジェネリックは生物学的同等性試験(血液中の薬物濃度が新薬と同じように推移するかを確認する試験)をクリアするだけでいいので、開発期間が3〜5年と非常に短く、安価で販売されます。
特許が切れた新薬をすべてジェネリック医薬品に替えれば、国の医療費が年間約1.5兆円も抑えられると言われています。
創薬の過程
これまでの説明では、人を対象とした治験にフォーカスして説明してきましたが、ここでは創薬全体の過程を見てみたいと思います。
創薬は基礎研究から承認審査までに9年〜17年の年げつと、数百億から数千億ともいわれる多額の費用がかかります。
基礎研究(2〜3年)
薬の開発は、病気に効きそうな「薬の候補」を探すところから始まります。自然の中から見つけたり、科学的に作ったりして「薬の候補」が選ばれます。その確率は2万分の1とも言われています。
非臨床試験(3〜5年)
「薬の候補」は動物や培養細胞を用いて研究され、効果や安全性が確認されます。
治験(3〜7年)
上述のとおり、人を対象に第I相試験から第III相試験がおこなわれます。
承認審査(1〜2年)
ここまでの結果を国(厚生労働省)に提出し認可がおりると、ようやく「新しい薬」として製造・販売することができます。
いかがでしたか?専門的な内容でわかりづらい点もあるかと思いますが、治験に関しての主な知識をまとめてみました。他にもこんな情報があったら良いなということがあれば、どんどん情報を追加していきますのでおしらせください。