治験とは


治験とは、新しい薬を販売する際に、厚生労働省の認可を得るためにおこなわれる、人を対象とした治療を兼ねた試験のことを言います。ここで新しい薬の安全性や有効性などが確かめられます。



治験の種類と報酬(負担軽減費)


治験は、大きく分けて持病がある方を対象におこなわれる治験と、健康な方を対象としておこなわれる治験の2種類があります。

持病がある方の治験は、主に通院しながら治験を受けるタイプです。こちらは1通院あたり7,000円〜10,000円が報酬(負担軽減費)として支払われます。

他方、健康な成人男性を対象におこなわれるのが、一般的に高額の治験バイトとイメージされている入院タイプの治験です。1泊あたり15,000円〜25,000円計算になります。

※入院の治験は自己負担が発生しませんが、通院の治験は基本的に治療を兼ねているので、通院あたり窓口負担が300円〜3,000円程度発生します。

入院の治験も2種類


そして、この健康な成人男性を対象とした入院タイプの治験にも大きく分けて2種類の治験があります。それが新薬の治験(先発品)ジェネリック医薬品(後発品)の治験です。

1つ目の新薬の治験の場合は、持病がある方に新しい薬の効果を試す前に、健康な男性を対象にその薬の安全性や血液中の薬物動態(吸収、排泄)などを調べるために入院の治験がおこなわれます。これをフェーズワンと言ったり、第I相試験と言います。

新薬の治験の段階については下記にて詳しくご説明します。

ちなみに、海外ですでに販売されているお薬でも日本で販売するためには基本的に新薬として治験が必要になります。DNAの違いや食生活の違い、身体の大きさの違いなどがあるので、日本人にあった用法用量などを確かめる必要があるからです。

2つ目のジェネリック医薬品は、すでに販売されている新薬の特許期間が切れたのを狙って、別のメーカーが新薬と同じ成分でつくった薬のことを言います。要はモノマネ薬ですね。

これは別に悪いことでも何でもなく、至極一般的におこなわれています。むしろ、私たちにとっては良いことずくめで、このジェネリック医薬品のおかげで新薬の2割〜5割も安い薬が世の中に誕生しているんです。

新薬と成分が同じ薬ということは、新薬がこの世に誕生する際に実施された治験ではもちろんのこと、特許で守られながら販売されていた期間(実質15年程度)にもその安全性や効果は十分な検証がなされてきたということになります。

そのため、ジェネリック医薬品はまたゼロから治験を始めるのではなくて、健康な男性を対象とした試験で、新薬とジェネリック医薬品との間で血液中の薬物動態(吸収・排泄)などが同等か確かめれたらそれでいいことにするのです。

この治験を専門的には生物学的同等性試験と言います。でも、だからこそ、このジェネリック医薬品の場合も入院して頻回採血の治験が必要になるということなんですね。

日本でおこなわれている、過半数の入院の治験バイトはこのジェネリックの治験を指しています。新薬で何十年と安全が確かめられているにも関わらず、危ないとか危険だとか言われているのはすこし面白い話ですよね。

ジェネリック医薬品の詳細については下記にて詳しくご説明します。

入院が必要な理由

では、なぜ入院が必要なのかというと、上述したとおり体内での薬の濃度と変化を確かめるために、採血を一定時間ごとに複数回行う必要があります。

だから、新薬の場合もジェネリックの場合も入院してもらう必要があるんです。

正直、家が近い人は帰っても大丈夫なんでしょうけど、キッチリ時間どおりに毎回採血する必要があるし、往路の間に何か事故にあったり、飲食してしまったりすることが無いように、監視の意味も含めてみんな同じ条件で入院してもらうんですね。採血はたくさんありますが、一回の量は少量なので安心してください。

すこし話は逸れますが、どの試験も入院中は食事を残さずに食べてもらうという参加条件があります。入院中の食事と言っても、もちろん流動食ではありません。普通の弁当や、施設によっては院内にコックさんがいて作ってくれます。同じ条件でデータを取るため、食事は好き嫌いなく、残さず食べてもらう必要があります。

もっと詳しく「治験とは」を知りたい方は以下から厚生労働省のページにリンクしますのでご覧ください。

出典:厚生労働省ホームページ

治験のメリット・デメリット

メリット

1つ目のメリットは、やはり「お金」ですよね。
治験に参加すると、負担軽減費というお金を受け取ることができます。特に労力を使わずに3食ついてのバイトでお金が貰えればやはり魅力的です。社会貢献!創薬ボランティア!と声高に叫んだと言えど、参加者の主目的はやはりこれではないでしょうか。

2つ目のメリットは、自分の健康管理に繋がるというところです。採血や採尿、心電図等を行いますので、自分の健康状態を知る良いきっかけになります。

会社務めされている方は1年に1回健診を行うと思いますが、学生やフリーター・自営業の方はなかなか機会がないと受診しないのではないでしょうか。本来の目的とは違いますが、実際に治験を受けて、自分の知らなかった病気が発覚したり、感染症にかかっていた!なんて事も分かるかもしれません。

3つ目のメリットは、皆さんが大好きな社会貢献です。これは主に持病がある方の治験について言えますが、自身が患っている疾患の新しい治療方法を試せたり、同じような病で苦しんでいる方への貢献になります。これに加えて健康な方の治験には、上述したようにジェネリック医薬品を世に送り出し、お薬代を安くするというとても有意義な社会貢献となります。

デメリット

次にデメリットです。

1つ目は、通院の治験でも言えますが、飲食や嗜好品に制限がかかったり、時間的な拘束があるという点です。特に健康な男性を対象とした入院タイプの治験では、ご存知の通り長い時間拘束されます。

2つ目は、入院の治験についてのデメリット。基本的には自由にスマホを使えたり、勉強や仕事をしたりと出来ますが、集団生活になりますのでそういうのが苦手な方はストレスになるかもしれません。また、入院の治験の場合は、人によって採血回数が多いことがネックになります。

3つ目は、治療効果のないプラセボ(偽薬)を服用する可能性があるということです。これは主に持病がある方の治験について言えます。

最後の4つ目は、医師や製薬会社なども予期しない副作用が発現する可能性があるということです。

新薬の治験

ここでは、新薬を創る際に人を対象に実施されている治験の過程について見てみましょう。

新薬の治験の3段階(フェーズ)

新薬の治験は大きく3つの段階(フェーズ)に分かれ、それぞれ第I相試験(フェーズワン)、第II相試験(フェーズツー)、第III相試験(フェーズスリー)と呼ばれています。

第I相試験:

主に健康な成人を対象として、治験薬の安全性や、治験薬がどのように体内に吸収され排泄されるかを調べます。これは主に入院の治験です。

第II相試験:

少数の患者様に対して、第I相試験で安全性が確認された用量の範囲内で薬剤を使用し、薬の効果、安全性、投与量などを調べます。これは主に通院の治験になります。

第III相試験:

多数の患者様に対して薬剤を使用し、第II相試験で実施したよりも多くの情報を集め、実際の治療に近い形で薬の効果や安全性を確認します。これも主に通院の治験です。

ジェネリック医薬品の治験

ジェネリック医薬品とは新薬の特許期間である20〜25年(実質15年程度)が満了した後に発売される、新薬と成分や量が等しく、価格が安い医薬品のことをいいます。後発医薬品とも呼ばれ、新薬と比べて価格が2割〜5割ほど安いのが特徴です。

新薬とジェネリックの違い

■ 同じところ

1.有効成分の種類・量
2.用法・用量
3.効能・効果

■ 違ってもいいところ

1.形状
2.色
3.味
4.添加物

わかりやすい例では、粉薬→カプセルへの変更など、飲みやすさなどが改良されたりします。

ジェネリックの治験(生物学的同等性試験)

巷で治験の高額バイトと言われている入院タイプの試験のほとんどがこれです。新薬の第I相試験より圧倒的に多く実施されています。

9年〜17年かかると言われている新薬の開発期間に比べて、ジェネリックは生物学的同等性試験(血液中の薬物濃度が新薬と同じように推移するかを確認する試験)をクリアするだけでいいので、開発期間が3〜5年と非常に短く、安価で販売されます。

特許が切れた新薬をすべてジェネリック医薬品に替えれば、国の医療費が年間約1.5兆円も抑えられると言われています。

創薬の過程

これまでの説明では、人を対象とした治験にフォーカスして説明してきましたが、ここでは創薬全体の過程を見てみたいと思います。

創薬は基礎研究から承認審査までに9年〜17年の年げつと、数百億から数千億ともいわれる多額の費用がかかります。

基礎研究(2〜3年)

薬の開発は、病気に効きそうな「薬の候補」を探すところから始まります。自然の中から見つけたり、科学的に作ったりして「薬の候補」が選ばれます。その確率は2万分の1とも言われています。

非臨床試験(3〜5年)

「薬の候補」は動物や培養細胞を用いて研究され、効果や安全性が確認されます。

治験(3〜7年)

上述のとおり、人を対象に第I相試験から第III相試験がおこなわれます。

承認審査(1〜2年)

ここまでの結果を国(厚生労働省)に提出し認可がおりると、ようやく「新しい薬」として製造・販売することができます。

いかがでしたか?専門的な内容でわかりづらい点もあったかと思いますが、治験に関しての主な知識をまとめてみました。他にもこんな情報があったら良いなということがあれば、どんどん情報を追加していきますのでおしらせください。